市原市議会議員 さいとう武士のブログ

事実に基づいて行動する社会を

SNS上で「〇〇市の市長が在日中国人に狩猟免許の許可を出した」とする投稿が拡散され、大きな誤解とともに市長への非難や差別的言説が飛び交う、非常に残念な事態が発生しました。

この投稿に対しては、「日本人が襲われたらどうするんだ」「こんな市長は辞めさせるべきだ」といった声が相次ぎ、さらには市のWEBサイトへの抗議を呼びかけるような扇動までもが見受けられました。

しかし、冷静に事実を確認すれば、この情報にはいくつもの明確な誤りがあります。

まず、狩猟免許を取得する大半の人は、罠猟や網猟など“銃を使わない狩猟”が目的であり、いわゆる“猟銃”とは無関係です。そして、狩猟免許の許可権限は都道府県知事にあり、市長が許可を出すことは制度上できません。

このように、制度や仕組みを正確に理解すれば容易に誤情報だと判断できる内容でも、SNS上ではあっという間に“真実のように”拡散され、人々の不安や怒りを煽る結果となっています。

この出来事を通じて、私が強く感じたのは次の2点です。


■ 情報リテラシー教育の強化が急務

インターネットやSNSは、便利で民主的な情報共有ツールである一方で、誤情報や偏見、感情的な反応が瞬時に拡大するリスクを孕んでいます。

誰でも発信できる時代だからこそ、子どもから大人まで、「情報を読み解く力」「ファクトを確認する習慣」「出典を問う姿勢」を育てていく教育が不可欠です。

学校教育におけるメディア・情報リテラシーの授業の充実はもちろん、地域や家庭、企業の中でも継続的な学びの場が求められます。


■ SNS上の誤情報拡散に対する制度的対応の検討

また、明確に虚偽と判明している情報が、個人や行政に対する誹謗中傷や名誉毀損、差別的攻撃へとつながっている現状を見過ごすことはできません。

表現の自由を尊重しながらも、虚偽情報による風評被害の防止、誤情報の拡散抑止、責任の所在明確化などについて、一定の法的・制度的対応も今後の検討課題になると考えています。


「市民の不安」は決して軽視してはならないものです。しかし、その不安の“土台”が誤った情報によって形づくられてしまっているのであれば、それは冷静に正していく責任が私たち一人ひとりにあります。

感情に流されることなく、事実に基づいて行動する社会を。
その第一歩として、情報を見極める力=リテラシーを社会全体で高める必要性を、今回の件で改めて痛感しました。

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