日本の関税率は、OECD諸国の中でも非常に低い水準にあります。だからこそ、仮に平均関税率を1%引き上げたとしても、国際的な水準から見れば依然として「低関税国」と言えるでしょう。
そもそもベースが低いため、1%程度の引き上げであれば、貿易摩擦や国際的な反発を引き起こすリスクも限定的です。たとえば、100円の輸入品であれば、価格への影響は1円程度にとどまります。
このわずかな価格差が、国内産業にとっては重要な意味を持つことがあります。特に、農業や中小製造業といった、安価な輸入品との競争にさらされている分野では、国内製品の競争力を取り戻す一助となる可能性があります。
また、日本の輸入総額は年間で100兆円を超えています。平均関税率を1%引き上げるだけで、理論上は約1兆円の税収増が見込める計算です。
この増収分を、たとえば「高校無償化」の財源として活用するのはどうでしょうか。
将来世代への投資として、教育の機会均等を実現することは、持続可能な社会を築くうえでも極めて重要です。財源論としても、過度な負担を誰か一部に押し付けるのではなく、広く薄く、しかも実効性のある形で負担を分かち合うこの方法は、バランスの取れた選択肢の一つになり得るのではないでしょうか。